子どもの全面発達を支える保育

いなほ保育園では「斎藤公子メソッド保育(さくら・さくらんぼ保育)」を実践しています。
泥んこ遊び、水遊び、充分なハイハイ運動など昔ながらの保育が、現在では科学的に有用であることが証明されています。「脳科学と教育」という視点から脳科学者の小泉英明先生は、「動物の進化の中で、人間だけは遺伝子で決められた通りでなく環境によって学習する。だから逆に言うと環境がものすごく重要になる。斎藤先生の保育は、まさにそのところを見抜いた保育ではないかと思います」と唱えています。
ジャン・ジャック・ルソーも著書「エミール」の中で「環境による教育」自然環境と物的環境(教材)と人的環境の重要性を唱えています。適切な環境を整備し、昔ながらの保育を実践していきたいと考えています。

斎藤公子メソッド保育

斎藤公子メソッド保育

斎藤公子女史の「さくらさくらんぼ保育」~保育と脳の発達の関係

いなほ保育園では子どもの全面発達を支える事を目的に、故 斎藤公子先生(2003年 内藤寿七郎  国際育児賞希望大賞・生命の尊厳賞受賞)の保育を実践し、日々勉強をしています。

斎藤公子先生は 障がいのある子どもと健常児が共に育つ統合保育をはじめ、障がい児保育にも尽力した人物です。子どもの身体機能と精神の健やかな育ちを目指す「全面発達の保育』を心がけながら実践を重ね、リズム遊びや絵本の読み聞かせ、童謡の合唱、自然や小動物との触れ合い、土や水に親しむ遊びを通して、子どもの心と生きる力を育てる事に尽力されました。

全面発達の保育とは、子ども達が将来予期せぬ事態の変化に遭遇した時、自分自身の力で対応していける力を育む、根っこを大きく育てることを目標とする実践保育です。

子ども達は、自分自身で自分の課題を見つけ、その課題に意欲的に取り組んで、最後までやり抜く力を、いろいろな保育活動の中で経験・体験していきます。子ども達は自分の力を自分自身でどこまでも伸ばしていくことができるのです。

課題に意欲的に取り組む、、やり方を模索して、自分で行動し、考えぬく力をつける。

私たちは発達の為のリズム勉強会、絵の勉強会、食生活の講演会、生活リズムの講演会、障がい児を受け入れるための講演会、実践、実技指導 など・・・ このような勉強会を行い、すべての子どもの可能性を伸ばすという課題を絶えず考えながら実践しております。

海外にも目を向け、各国に伝承されている遊びや踊り、体育などをリズム運動に積極的に取り入れています。斎藤先生は、運動・感覚神経が脳の中枢神経の発達を促すと考え、「0歳から就学前の6歳までの運動が体を丈夫にするだけでなく、知的発達にとって非常に大切だ」とも指摘しています。

いなほ保育園では「斎藤公子のリズムあそび」 「描画でみる保育実践研究」 特別支援保育や障がい児保育等について、施設内研修、施設外研修で学習をすすめていきます。リズム遊びや絵本の読み聞かせ、童謡の合唱、自然や小動物との触れ合い、土や水に親しむ遊びを通して、実践保育を行い、子どもの心を自由に育てることにも心がけています。

「斎藤公子メソッド保育」による全面発達の保育実践

  • 身体を育てる…リズム遊び・ロールマット・散歩・感覚遊び 等
  • 社会性を育てる…集団遊び・お当番活動・地域を知り、地域で遊ぶ 等
  • 言葉を育てる…絵本の読み聞かせ・歌をうたう・仲間と遊ぶ 等
  • 文化性を育てる…季節の行事を味わう・わらべ唄遊び・本物にふれる体験をする 等
  • 子どもの心を育てる…大人を信頼する・自己判断・自己決定の出来る子どもを育てる。
  • 発達に合った課題を提供することにより自己肯定感を育てる

子ども達の描画

子ども達の描画

私達は子どもの描く絵を「カルテ」として位置付けています。

絵には、子どもの心の状態が表れます。絵を見て、子どもが感じていること、捉えていること、脳と身体の発達を読み取り、保育のあり方、子どもとの関係性を確認していきます。

そのため職員は、定期的に園内で子どもの描画を持って参加し、常に勉強を重ねています。子ども一人ひとりが、心から楽しいときを過ごし、幸せな人生を送れるように最大限の努力をしていきます。

その子どもが描いた絵から、その子どもにあった保育内容を変更し、絵の変化から心の様子や育ちなどを詳しく分析しています。

子どもの描く絵は、心の内面を表現するものであると思います。知的な文字言葉を獲得するところにまでは来ていない幼児期において、絵は、話し言葉と共に、心、つまり胸の思いを具体的に伝えたり、表現するための「かけがえのない」一つの表現手段です。それは、子どもの「具体的な生きた言葉であり、また今を知らせている言葉」とも言えると思います。当たり前の子どもを育てたい、幼児らしい幼児を育てたい。よく遊び、胸の思いを「言葉」でも「絵」でも、表現する子どもに育てたいと思っています。

絵を書かせることが 目的ではありません

保育や生活の中で、大人がどのように働きかけるかで、子どもの認識が違ってきます。幼児は絵で思いを表現しますが、児童になると文字や言葉で表現する様になるため、絵は描かなくなるかもしれません。(あまり、絵を重視しなくなります)作文を書く力は、語り聞かせを沢山聞いた経験が文章として生きてくる様に思われます。
就学において、「話し言葉」や「絵画」においても、気持ちを込めた筋道のある表現ができる力とその充実を図ることこそ、近い将来、「書き言葉」に託して思いを語る主人公となるための土台作りと言えましょう。

子どもの育ち方には順序があります

ゆっくり、じっくり、その年齢の育ちをさせてあげることが大事です。全身の動き、手の動きなどの感覚神経・運動機能を育てることが考える力の土台となります。

  • 1才半頃

    1才半頃

    一人歩きが出来るようになり、物を指で指すことができる。「ブーブー」「マンマ」などのカタコトが出てくる。

  • 1才後半頃~2才

    1才後半頃~2才

    力強い線で画面いっぱいにぐるぐると円を描く。栄養も足りてしっかりと発達していることが分かる。(1才11ヶ月)走れるようになる。ビンのふたを閉められる。一語文が多くなる。(2才)

  • 2才半頃

    2才半頃

    両足をそろえて、ゆっくり跳べる。スプーンが上手に使える。パンツが自分ではける。二語文になる。

  • 2才後半頃~3才頃

    2才後半頃~3才頃

    顔に目を書き、髪の毛や手、足など直線が出てくる。(2才10ヶ月)
    トイレに1人で行けるようになる。洋服のボタンはめが上手になる。「オトウサント○○ニイッタ」など三語で話せるようになり始める。

  • 3才半頃

    3才半頃

    足を交互に踏み出し、自由に階段の登り降りができる。ハサミを正しく持って直線を切ったり出来る。回覧板など持ってお使いが出来るようになる。

  • 4才頃

    4才頃

    スキップが上手になる。かた結びができる。1対1のジャンケンの勝ち負けがわかる。
    4才の後半になると地と空に分かれている世界を認識してくる。 (4才6ヶ月)

  • 5才後半頃

    5才後半頃

    縄跳びの、前とび・走りとびが出来始める。かくれんぼのルールがわかる。形容詞などを入れた表現で話すことが出来る。
    5才の後半は地上のみでなく、地下の生き物の生活にも興味が出てくる。カブトムシはこの頃の子どもの最大の宝物(5才8ヶ月)

  • 6才後半頃6才後半頃6才後半頃6才後半頃

    6才後半頃

    鉄棒の逆上がりが出来るようになる。
    紐を使って三つ編みができる。2つの用件を頼んだ場合、順序だててやることが出来る。地面の上と下などの認識が広がる。
    海の中を空想して描いたもので、様々な絵本・物語などの空想の世界に浸りきれる年齢である(6才6ヶ月)

  • 定期的に子どもの描画の勉強会・検討会を行っています。

    定期的に子どもの描画の勉強会・検討会を行っています。

身体を育てる食事

身体を育てる食事

大切な子ども達の口に入るものを徹底的に「厳選」した園独自の質の高い完全給食

子どもを意欲的にさせる保育と給食は密接に関わっています。子ども達は日中、思いっきり走り回り、体を動かして活動します。11時30分頃にはもう、お腹ペコペコです。いなほ保育園の給食は、「マクロビオティック(自然と生命の営みに気づき、それを生かし、それと共に生きること)」の考え方を取り入れています。 また、東城百合子先生や正食協会(大阪)主催のマクロビオティック料理教室に理事長、あおき保育園園長が参加し、初級~上級コースまでを修了致しました。

「マクロビオティック」とは、日本に古くから伝わる“食養生”と東洋の深い知恵

“易”の原理を2本柱に桜沢如一氏が確立、世界に広めた新しい生活法です。その根底には「玄米正食」という自然に則した食事法があります。“穀物菜食と自然食”主食は、その地方特産の穀物(米を中心に蕎麦や麦、ヒエ、アワ、キビなど)。これを5とすると、副食は旬の野菜や海藻が2、魚介類が中心の動物性食品は1というのが目安です。

いなほ保育園は完全給食です。

私共の保育は特に「食育」を重視しています。多くの保育園では、3才以上児よりご家庭より「主食(ご飯)」を持参するのが一般的ですが、いなほ保育園では主食も一緒に提供をしています。「玄米・麦・黒米・小豆」などの穀類や季節に応じた根菜(カボチャや芋類)、ひじき等をブレンドして特注の圧力釜で温かい炊き立てのご飯を給食時に提供しております。給食時にご飯も一緒に提供する方式を『完全給食』と呼んでいます。温かいご飯を提供したいという私たちの想いもあり、温かいものは温かいうちに美味しく頂く事も食育の一つと考え、調理も日々工夫をしております。
(写真上)圧力釜で、玄米を毎日炊いています。圧力釜で炊いた玄米はふっくらと美味しいです。お米は、有機栽培農家のお米を使用しています。お米で一番大切な部分を取っていない玄米です。噛めば噛むほど美味しく、消化を助けてくれるお米です。

給食で提供される主食

給食で提供される主食です。玄米と黒米のご飯です。黒米と一緒に炊き上げると写真のような色になります。所々にひじきや根菜が見えます。

玄米ご飯は、白米のご飯に比べるとよく噛まないと飲み込みにくいので、自然に噛む回数が増えていきます。たくさん噛む= 唾液がたくさん出る= 唾液により免疫力が高まり、消化作用、消化粘膜を保護する作用、味覚の働きを良くする作用など、よい作用がたくさんあると言われています。よく噛むことは、健康に良いと考えます。

黒米

黒米

毎年、吉野保育園(宮崎)の田んぼで育てています。6月苗を植え、11月頃には年長組さんが収穫をします。黒いつやつやした黒米を白米にブレンドして炊き上がるときれいな紫色のご飯になります。

梅干も毎年漬けています。

梅干も毎年漬けています。

毎年6月になると梅漬けの季節。大きな4L~5Lサイズの梅を注文し、年長さんと一緒に給食で使用する梅干しを漬けています。塩もミネラル豊富な「海の精あらしお」を使用しています。塩漬け~天気の良い日に天日干し、出来上がった梅は給食の主食の中に刻んで炊き込みます。残った梅汁は夏の時期の熱中症予防の梅ジュースとして給食室で準備します。

保育園で使用している『野菜・果物・海産物』

保育園で使用している『野菜・果物・海産物』

野菜は、国産&地産地消を基本として旬のものを使用しています。保育園でも四季折々の野菜を育て、調理し給食で美味しくいただいています。
果物ももちろん国産のものを使用し、その季節に応じた食材を使用しています。りんごは青森から取り寄せて、パイナップルは沖縄から取り寄せています。バナナも国産バナナを頂きます。

カルシウム豊富な海藻類。海産物は、沖縄県の「もずく」、大分県の「くろめ(海草)」、を取り寄せています。これらの海産物の特徴は、化学調味料や合成甘味料・リン酸塩(発ガン要素をもつ)を一切使用していないことです。

保育園で使用している『調味料』

①お塩は、『海の精 あらしお』を使用しています。『あらしお』は 国内の海水を使用して国内で生産した原料も製品も国産の塩で、 原料は海水100%。他の原料塩やニガリなどは使っていない塩です。伝統製法でつくられた海塩で、人間に必要なさまざまな無機成分(ミネラル)も含まれています。

②油は、料理にはサラダ油を使用しこまめに交換しています。手作りお菓子には『ココナッツオイル』を使用しています。

③醤油は、瀬戸内海に浮かぶ小豆島のヤマヒサで作られた無農薬杉樽仕込み醤油、(国産大豆使用・遺伝子組み換え大豆不使用)同じく小豆島の頑固一徹丸島醤油を使用しています。

④お酢は、厳選した黒酢を使用しています。

⑤砂糖は、沖縄・奄美大島の黒砂糖を使用しています。

⑥昆布は、主に北海道の昆布を使用しています。

⑤その他、科学調味料(味の素・だしの素・ハイミー)は一切使用しません。保存料・合成甘味料・合成色素の入ったものを極力避け、ねり製品については極力避けて、殆ど使用していません。

給食室からのお願い

給食室からのお願い

保育園では、0歳から6歳までおいしく、バランスの取れた給食を心がけています。子どもたちが全身を使って遊び、たくさん食べて、よく眠る、簡単なようで大変大事なことです。私たち給食係も、子ども達の為に精一杯頑張っていきたいと考えております。ご家庭でも、子ども達への『食育』におけるご協力をお願い申し上げます。

(1)早寝・早起きのリズムを整えましょう。身体の全てのホルモン系の分泌がバランス良く保たれます。

(2)朝食を規則正しく食べましょう。子どもにとって、その日を楽しいものにしてくれます。

(3)心のこもった食事作り、そして家族団らんをしましょう。心の通った食物を一緒に食べることは、大変大事なことです。そして「おいしかった」と言える家族の団らんも大切にしてください。

(4)噛む力をそだてましょう。

子ども(小さい子)にとって、口を大きく動かし、筋肉を沢山使い、噛み砕いたりすることは、唾液・胃液の分泌を促し知覚機能をも刺激させ脳の働きを活発にさせ、脳髄の発達を促しま す。(スルメ・ニボシ・干しイモ・その他)

(5)3歳児から始まる成人病に気をつけましょう。添加物のたくさん入った、食品・スナック菓子・カップラーメンは成人病を早めるといわれます。

(6)カルシウムの補給を忘れずに。
大人になってから補っても歯・骨を丈夫には出来ません。小魚(ちりめんじゃこ)・ごま・大豆(国内産のもの)・無添加のナチュラルチーズなども良いと思いますので食べてみましょう。

(7)食物の繊維をたくさん食べましょう。
野菜・きのこ・海藻・イモ等に含まれている繊維は、消化や吸収はされませんが腸の働きを促し、腸壁を刺激して便通をよくします。これは腸のガンを防いだり、胆汁をコントロールしてコレステロールになるのを防ぐと言われます。

(8)季節感のある伝統食も大切に考えます。
夏は身体を冷やす・トマト・キュウリ etc…を中心に。
は身体を温める、根菜類・ゴボウ・人参・大根などの根野菜を中心に。

献立について

献立について

献立は、吉野福祉会の5園(いなほ保育園、吉野保育園、あおき保育園、大橋保育園、企業主導型おおはし保育園)の給食担当、園長、主任を交えてオンライン給食会議を行いながら、献立を作成しています。大切な子ども達の口に入るものは徹底的に「厳選」し、より良いものを食べてほしいと切磋琢磨しています。園独自の質の高い「給食」を心掛けています。